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2023/5/30 8:00

耐震性能が低下する原因2

前回の続きです。
前回は、住宅の耐震性能の低下する原因について、壁内結露や雨漏りなど、水分による影響を解説しました。


次に、住宅の耐震性能を劣化させる原因として挙げられるのが、施工不良と地震による損傷です。
すでに結露と雨漏りについての説明でも、施工不良が原因のものもありましたが、ここでは耐震性を確保するための施工における施工不良を説明します。

耐震性能に関わる施工不良で、一般的に挙げられやすいのは、基礎の鉄筋や柱や梁などを固定する構造金物についてです。
これらは、瑕疵担保責任保険における検査事項になっていて、多くの会社では検査をパスするために、施工マニュアルが整備されていると思いますので、通常の住宅会社であれば問題ないでしょう。
心配な方は、配筋検査と金物検査に同行するか、検査結果を報告してもらうようにしましょう。

耐震施工において、最も施工不良が多いと思われるのが、耐力壁の釘打ちです。
耐力壁とは、家の外周部の柱と梁に固定する耐震パネルのことで、近年の木造住宅では一般化しています。
以前の筋交い工法よりも施工手間が少なく耐震性を上げやすいため、多くの会社が標準的に取り入れています。

しかし、一見すると施工手間が少ないように思われますが、この耐力壁を留めるための釘打ちは、適切な耐震性を発揮するために、細かいところまで確認する必要があります。
まず、釘打ちのピッチ(間隔)については、狭すぎても広すぎてもダメで、壁倍率が変わる場合は、釘の種類やピッチをそのたびに変える必要があります。
また、一番多い施工不良は釘のめり込みで、釘が耐力壁にめり込むと、耐震性を発揮しなくなります。
実験によると、耐力壁に釘が4mmめり込むと耐震性が半分になったとの結果も出ています。
このように、家一軒で数千本打ち込む釘について、種類とピッチとめり込みを全て設計通りに施工出来て耐震性を発揮するため、最も施工不良が起こりやすい場所だと考えられるのです。

では、耐力壁の釘打ちについて、施工不良を起こさないための対策はあるのでしょうか。
まず、釘の種類とピッチを標準化できるように、耐力壁の壁倍率を一定にすることです。
もし壁倍率を上げる必要がある場合には、室内側からの耐力壁によって壁倍率を強化することで、外周部の施工は標準化することができます。
一方で、釘のめり込みについては、正しい施工を周知する以外に方法はないでしょう。
施工する大工が、釘のめり込みを問題だと認識すれば、失敗したときにその場で手直ししてくれるようになるため、確認が必要なことは変わらずとも、施工品質がかなり安定します。

もし、耐力壁の施工に問題があった場合、どのような不具合が発生するのでしょうか。
当然、一番問題になるのは地震が発生した時で、耐力壁に釘がめり込んでいた場合、パンチングアウトと言って、釘が耐力壁を突き破ってしまい、耐力壁が柱に固定されていない状態になる可能性があります。
そうなると、耐力壁の効果は一切なくなりますので、地震による荷重が集中した場合、突然倒壊する危険があります。

とはいっても、現在までに耐震等級3の住宅が倒壊した事例はありません。
しかし、巨大地震に襲われて倒壊しなかったとしても、その後50年、100年と過ごしていくうちに2度目の巨大地震に襲われても問題がないといえるでしょうか。
これからの住宅の寿命は間違いなく延びていきますので、一度の地震に耐えられるだけでなく、繰り返し起こる地震に対しても安全性を確保できるようにしておく必要があります。
末永く住宅の安全性を確保するためにも、耐震性能を間違いなく発揮できる施工をすることが大切です。


最後に、耐震性能が劣化する原因として挙げられるのがリフォームです。
新築時に、住宅の耐震性を気にしていた人であれば、問題になることは少ないかと思いますが、一応説明しておきます。

当然のことですが、リフォーム時に構造上必要な柱や壁を取り払うことはできません。
また、構造計算時に考慮していなかった太陽光パネルを後付けすることもやめておいたほうがいいでしょう。
なお、将来的に大規模なリノベーションを行うこともあるかもしれませんが、その際はリフォーム専業の会社ではなく、構造計算ができる新築工事をやっている住宅会社へ依頼したほうがいいでしょう。
これは、中古住宅を購入してリノベーションをする場合にも当てはまることですが、不動産会社やリフォーム業者は、構造計算や耐震性能の知識がある人が少ないため、依頼先としてふさわしいか注意する必要があります。


このように、住宅の耐震性能を長期間にわたって維持し続けるためには、新築工事における施工品質が重要となります。
構造計算はあくまで理論上の計算なので、現場においてしっかりと施工が行われなければ意味がありません。
また、構造計算には直接関係ない防水施工についても、耐震性能を維持するうえでの重要性を理解していただけたでしょうか。
防水工事は定期的に行う必要があり、新築後10年を迎えるころを目安に点検しつつ、適切な時期に防水工事を行うようにしましょう。
現場での適切な施工とアフターメンテナンスなくして、住宅の耐震性能が維持されることはありません。
住宅の安全性を守るため、間違いのない施工とメンテナンスを行うようにしましょう。