ブログ

2026/6/27 9:00

夏の全館冷房「小屋裏エアコン」とは

小屋裏エアコンとは、小屋裏(屋根裏)の部屋に設置した1台のエアコンで、家全体を冷やして全館冷房を実現する空調方式です。

設置するエアコンは通常の壁掛けエアコンなので設置費用も高くなく、エアコンの冷気を感じることなく家全体を快適な温湿度に保つことができて、住み心地のよい家にすることが出来ます。

そんな小屋裏エアコンのメリットと、設置にあたっての注意点を解説していきます。


※小屋裏エアコンの設置状況


小屋裏エアコンのメリット

・全館冷房を安いコストで実現できる
全館冷房を実現するには、特別な設備機器を設置しなければならないことも多い中で、小屋裏エアコンは一般的な壁掛けエアコンを使用しますので、設置費用は比較的安く済ませることが出来ます。
また、全館冷房を運用していくなかで、電気代が高くつくと思うかもしれませんが、各部屋で冷房を運転する場合と比べると、家全体を1台のエアコンで冷やすため、一定の負荷でエアコン運転を続けることが出来るので、オンとオフが切り替わる個室ごとのエアコンよりも電気代を抑えることが出来ます。

・無風で快適な温湿度を実現できる
エアコンの冷房と聞くと、苦手だなと思う人もいるかもしれませんが、小屋裏エアコンは、小屋裏に溜めた冷気を各部屋に配ることになるので、直接エアコンの風を感じることなく快適な温湿度を実現します。
このような空調方式では、涼しいとか快適という感覚よりも、むしろ「何も感じない・不快な気持ちにならない」という、自然な感覚のまま過ごしやすい環境を実現できますので、通常のエアコン冷房が苦手な方にもおすすめできる空調方式です。


※空気を循環させるための大きな吹き抜け


小屋裏エアコンを採用する際の注意点

・断熱性能を高める必要がある
小屋裏エアコンは、一般的なエアコン1台で家全体を冷房する必要があるため、そもそも住宅の断熱性能を高める必要があります。
2025年4月からは、すべての新築住宅で断熱等級4が義務化されていて、一般住宅でもこの断熱性能を上回っていますが、小屋裏エアコンを採用する場合には最低でも断熱等級6程度の断熱性能にする必要があります。

・冷房負荷計算で必要なエアコンの容量を選ぶ
一般的なエアコン1台だけで家全体を冷房できると聞くと、本当にそんなことが出来るのかと思われるかもしれませんが、それが可能になるようにどのようなエアコンを選べばいいか計算しなければなりません。
そのためには、住宅の断熱性能だけでなく、冷房する空気の量(=気積)、換気や太陽熱・内部発熱の影響まで含めて、どのような容量のエアコンであれば全館冷房が可能か検討する必要があります。

・屋根の断熱性能は極めて重要
小屋裏エアコンは、小屋裏(屋根裏)空間をしっかりと冷やしたうえで、その冷気を家全体に配ることで全館冷房を実現する空調方式なので、小屋裏はかなり寒い空間にする必要があります。
しかし、屋根には太陽光が降り注いでおり、屋根の表面温度は70℃を超えるほどの高温になることがあります。
そのため、屋根表面と小屋裏の温度差が相当大きくなってしまうため、しっかりと断熱性能を上げておかなければ、結露が発生してしまい、カビが生えたり、ひどい場合では結露水で雨漏りのような症状が発生してしまいます。
そのような事態を起こさないためにも、屋根断熱の性能は通常よりも高める必要があります。

・空気の循環経路を考える
小屋裏エアコンは、先述の通り小屋裏の冷気を家全体に配ることで全館冷房を実現するため、小屋裏から冷気を配るための経路をあらかじめ考えておく必要があります。
ここをしっかりと考えておかなければ、小屋裏だけ冷えて家全体は涼しくならないということになっていまします。
また、小屋裏から冷気が落ちていくルートを検討すると同時に、暖気が小屋裏に戻っていく「リターン」の経路を考えておかなければ、やはり全館冷房は実現できないので、この空気の循環経路は小屋裏エアコンの設計において、最も重要で難しい要素だといえます。

・1階と2階で温度差が生じることがある
小屋裏エアコンは、小屋裏の冷気を落として各部屋を冷やすため、1階のリビングと小屋裏が接していない場合などは、1階まで冷気が届かずに、1階と2階で温度差が生じることがあります。
解決方法としては、小屋裏と1階が接するように吹き抜けを設けることや、1階まで冷気を吹き降ろすファンを設置することなどがあり、設計段階からどのように運用するか考えておくようにしましょう。

・行政の判断で設置できないことがある
小屋裏は、一般的に階として認められない空間なので、天井高を1.4m以下にするなどの制限がかかります。
この制限は、人が滞在する居室として小屋裏を使用させないためのもので、行政の判断によってはエアコンやコンセントの設置を認めない場合もあるようです。
なお、2階建ての家の場合は、小屋裏を3階として行政に届け出ればこのような問題は発生しませんが、3階建てにすると、また別の制限がかかることになりますので、あらかじめ住宅会社などに確認したうえで検討しましょう。

・エアコンの寿命は短くなる
この点は、あまり大きな問題点ではありませんが、全館冷房を行うにあたってエアコンは長時間にわたり連続運転する必要があるため、実際に運用していくと通常のエアコンよりもだいぶ寿命が短くなってしまうようです。
しっかりとエアコンに働いてもらうためには避けて通れないので、短いスパンでエアコンを買い替える必要があることをあらかじめ理解したうえで小屋裏エアコンを採用するようにしましょう。

・すぐに冷房が効くわけではない
こちらも、大きな問題点ではないですが、家全体を冷房するためエアコンを稼働させ始めてから実際に涼しくなるまでに、時間がかかります。
そのため、長時間の連続運転でエアコンを稼働させることを基本にしつつ、電源を入れるタイミングを早めにするなど、生活上の工夫が必要になります。


まとめ

小屋裏エアコンは、うまく活用することが出来れば、コストが安く無風で快適な空間を実現できる、優れた空調方式と言えます。
しかし、見よう見まねで採用した結果、失敗したり大きなトラブルに発展している事例もあるようです。
そのようなことにならないためにも、小屋裏エアコンを採用したい方は、依頼先の住宅会社がしっかりとした知識に基づいて、小屋裏エアコンを設計できるかどうか確かめることが大切です。
小屋裏エアコンに興味がある方は、ぜひ弊社までお問い合わせください。

※他社に依頼されている方からのご質問・問い合わせには、お答えしかねますのでご了承ください。